矯正治療というとイメージするのが歯につける銀色の「ボタン」のようなブラケットとワイヤーではないでしょうか？　たしかに目立つ治療装置です。しかし、歯科医療の進歩によるさまざまな目立ちにくい矯正装置が開発されています。その1つがマウスピースを使った矯正装置です。マウスピースを使った矯正治療はほとんどの症例に対応しますが、できない症例もありますのでまずはご相談ください。

よく伺うお悩みは、「目立つのは耐えられない」「あまり痛くない治療なら受けてもいいけど……」「金属アレルギーが心配」「スポーツができるのか心配」「吹奏楽部なので吹けなくなると困る」などです。

これらをすべてクリアできるのが、マウスピースを使った矯正装置です。マウスピースは薄くて透明なので、装着していても目立ちません。そして取り外しできるので、飲食やブラッシングのときには外せます。用事が済みましたら、すぐに装着すればよいのです。またマウスピースの管理は患者さまが行うので、通院回数が少なめです。

「きれいな歯並び」といっても、患者さまが望むイメージと医師が抱くイメージは必ずしも同じではありません。それは治療方法も同じです。さまざまな治療法のメリット・デメリットを丁寧にご説明し、ご理解・ご納得された治療をご選択いただきます。治療開始は同意を得てから行います。

矯正治療は歯科の中でもとくに長い治療期間が必要です。そのため、起こる可能性があるトラブルも特徴的で、その1つが虫歯や歯周病にかかるリスクです。歯に装着するタイプのワイヤーを使った矯正装置は、汚れがたまりやすく、ブラッシングもしにくいので、虫歯や歯周病が心配です。しかし、歯列矯正専門の医院では、虫歯や歯周病の治療の治療を行わないことが多く、それができる歯科医院を再受診しなければなりません。その際に、治療までに時間がかかると虫歯も歯周病もどんどん悪化し、お口の健康が損なわれ、患者さまの負担も大きくなってしまいます。いっぽう総合歯科医院での診療は、必要に応じてインプラント治療やほかの補綴物などの診断や治療も可能です。患者さまとすぐにご相談できるのも総合歯科医院が安心できる理由です。

どんな治療でも同じですが、口腔内の精密なデータ収集が正確な診断につながり、治療結果を左右します。そのため、当院でのマウスピースを使った矯正治療においても、入念な診査・診断を行います。口腔内の画像は専用の口腔内スキャナー（iTero）でスキャンし、現状をモニタでご覧いただきます。また、シミュレーションによって歯をどのように動かすのか、そしてゴールをご覧いただくのです。

これまでの歯型の採取の方法は、ドロドロの印象材をお口の中に入れて固まるまでがまんしていただかなければなりませんでした。それは嘔吐反応が強い方にはとくに忍耐が必要な時間です。また精度の高さにも疑問が残ります。

しかし口腔内スキャナー（アイテロ）は、口腔内にかざしてスキャンするだけで、データの収集ができるので、歯や歯列の正確な再現が可能です。

口腔内スキャナー（アイテロ）で収集するデータは歯型・歯並びです。そして顎の骨の状態や歯根部分を確認するのが歯科用CTです。歯の生え方や顎の厚みなどの詳細を3D立体画像で確認できるので、正確な診断につながります。

矯正治療の目的は歯並びをきれいにするだけではありません。機能回復も大切ですので、顎の動きや咬み合わせも考えなければなりません。その際には、必要に応じてレントゲン画像で顎の状態を撮影し、治療を検討します。